前田稔監督が授業にサプライズ参加【アニメーション概論】

今週の連続テレビ小説「あんぱん」、主人公がやなせたかしではなく奥さんなのが不思議でしたが今週の展開を見ると、朝田のぶの心の葛藤や複雑な揺れにドラマの巧みさに恐れ入るアニメーション学科長の森です。

1年生の理論授業「アニメーション概論」は

作家紹介シリーズで、森本晃司監督・坂本一也監督・平尾隆之監督と卒業生三監督の監督デビュー作品、代表作品を鑑賞してきました。どの監督も日本の商業アニメで活躍されている大デ・アニメーション学科卒業生です。

今週は、その三監督との活動と少々異なるアニメ活動をされている前田稔監督の作品紹介です。

アニメ制作会社に所属しているのではなく、作家活動されているアニメーションクリエーターです。
地元の広島市で活躍中です。

前田先輩の代表作アニメーション「太陽をなくした日」を鑑賞しました。

鑑賞後は、オンラインで広島と繋げて、作品解説をご本人の言葉で語ってもらう作者参加の授業を行ったのですが、オンラインのスピーカーから聞こえてくる声と重なって、教室の扉が突然開いて、広島にいるはずの前田監督がオンラインの声と一緒に登場。サプライズ登場に教室の学生たちはビックリ！

この授業のために、広島から駆けつけてくださったのです。 

「太陽をなくした日」の制作にいたるまで

のエピソードに続き制作の裏話が語られ、ここからが自主制作された取り組みの大きな特徴になるわけですが、どのように発表したのかについて実体験の貴重な話しを山のようにいただきました。
前田監督って身振り手振りが大げさでパントマイマーを見ているかのようで、目の前にアニメが存在しているかのような人です。それから、何でも絵に描いて説明してしまう根っからのアニメーターな人なんですね。

前田稔監督の誇れる大切なことは

製作会社なら必ず行う宣伝コマーシャルは一切せずに、世界にその名と「太陽をなくした日」を知らしめたことです。すべてが口コミと自らの発表活動によるものです。

ヨーロッパのアニメーションを学習する学生たちの教科書に

「太陽をなくした日」が取り上げられています。
The Fundamentals of Animation　という英国で編集出版された書籍です。

歴史的なアニメーション作家や作品の紹介がされていて、日本のアニメ「AKIRA」と並んで「太陽をなくした日」は紹介されています。

前田監督の制作にあたってのリサーチ力について取り上げられたのでしょう。
独りの作家が長い時間をかけて足を使って取材して手に入れた事実にもとづいて作られたアニメーション作品として海外でも驚きと称賛をもって認められたのです。

業界に就職することが目的とされる専門学校ですが、前田先輩の様なキャリアを手に入れている卒業生もいるのです。
前田先輩は、現在も、アニメコマーシャルの制作、比治山大学短期大学部で講師、広島の専門学校でも講師を務めておられます。