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大デ・アニメーション学科のデッサンのこだわり

2025.06.20アニメーション学科

デザインの専門学校 大阪デザイナー・アカデミー(旧:大阪デザイナー専門学校)

文楽の狐の登場に面白さと美しさとけれんさを感じたアニメーション学科長の森です。

アニメーターにとって大切なデッサン力を手に入れるカリキュラム

アニメーション学科のデッサンの課題の取り組みにこだわりがあります。
陰影の描写は後回しにして、形の観察から始まり、面取りデッサンの課題は線だけで描写し完成させました。

理由は、イラストレーターに求められるスキルとアニメーターに求められるスキルが大きく違うからです。
イラストレーターの学びと作品の仕上げは画面を埋めて絵を描き上げることですが、アニメーターの仕事は役割分担が決まっていて、画面の中に登場する人物や物を線で描いて動画を描く事が仕事です。
なので、アニメーション学科以外のイラスト系の学科は、同じ角像を教材に使いますが面取りデッサンの本来の陰影描写の学習を始めて行きます。大デ-アニメーション学科は形の観察と線による描写で描き進めました。

陰影の描写ではなく、対象の形のプロポーションとバランスを観察して描く事を課題として取り組んだのです。
点を見つけて線を描いていく制作に、角像という対象はピッタリだったともいえます。角像を構成するひとつひとつの面の形の点を探すにも計り棒の利用が欠かせないわけですか

計り棒を使って騙されずに観察する術を学んだ1年生の続いての取り組みは

いよいよ本来の石膏デッサンの描写に取り組みます。アニメーターに必要なスキルからさらに前に進んで、美術 (仕上げ・背景)や撮影に求められる画面を充実させ画面を完成させるスキルを習得します。丸像を対象にして陰影を描写するわけです。

ここでも大デ-アニメーション学科のこだわりがあります。

鉛筆陰影描写を行うとなると、陰のところを鉛筆で描いていくことに一生懸命になりがちですね。しかし、学生たちには「光が当たっているところを描写しなさい」と伝えます。
明るいところを描く? 一間、矛盾に思うでしょ、鉛筆で描くと黒くなっていくのですから。
鉛筆で描くのではなく消しゴム練り消しで描くのです。

用紙が白いから

明るいところは、ついつい紙の白を残しながら陰影描写を行いますが、アニメーションの学生たちにはこのように伝えます。

描いた像を、一度明るい灰色で埋めてしまいなさい。

薄い鉛筆(HやHBのことです)で、シルエットの内側を全部グレーに塗り込んでしまうのです。
そうしておいて、さらに暗いところは鉛筆を重ねて描写していき陰を表現していく。逆に明るいところは練り消しを使って明るく作っていくのです。

そうすれば、明るい部分の描写が作れるでしょ。

紙の白さを残したところと、明るい影との境目がスムーズになり自然な描写になります。

ハイライトの描写は今のアニメキャラデザインの特徴でもあります。

アニメキャラにおいて陰だけをデザインに取り入れるだけでなく、光を感じさせるデザインは、それこそ国産最初のテレビアニメ「鉄腕アトム」からありました。とは言っても、アトムや鉄人28号の光の描写は、主に、金属の質感や硬質物の質感を表現するための技術でしたが。やがて、極端に光が当たった表現の演出効果や髪の毛のツヤの表現や顔の鼻の面を感じさせたり効果として使われて行きました。ですが、平成令和の時代になってからキャラクターデザインに数多く取り入れられていきます。
目についた作品を紹介すると、
宇宙よりも遠い場所
アン・シャーリー
はキャラクターデザインとして明るい面がデザインされています。
『うる星やつら』やリメイクされた作品の新旧を見比べると明るい面が取り入れられたりデザインされたり変化に気付かされます。
アニメーターの描く手間と仕上げの手間が増えますが、画面や作品の印象が明るくなりますね。
絵画の歴史において、宗教絵画から写実主義の時代の絵画は陰影を描いて立体表現していくことが基本でしたが印象派絵画になると、光を感じさせる描写に変わり途端に画面が明るく健康的に変わります。
アニメの画面も明るいイメージにしたかったのでしょうね。

デッサンの作品もアニメの作品も、明るくて健康的で楽しい作品が作られてほしいです・

課題2の合評会

石膏デッサンの二つ目の課題が並べられて合評会が行われました。
次回の前期の最終課題は中型の胸像が対象に加わります。頭や顔だけでなく胸の筋肉や肩の描写が求められます。

さらなるこだわりとして

背景描写も行います。
このこともアニメーション学科のこだわりの取り組みです。
背景とキャラクターは切り離せないと考えているからです。
立体物である石膏像は空間に存在しているわけですから、石膏像だけを描くのではなく背景も描いて像の存在感を表現するのです。奥行きのある空間を鉛筆で描写するわけです。
1年生前期デッサンの最終課題をお楽しみに。

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おでかけひよこ おでかけひよこ まずはオープンキャンパス来てや〜