【後期授業紹介③】絵画を学ぶ?映画を学ぶ?
2025.09.29アニメーション学科
デザインの専門学校 大阪デザイナー・アカデミー(旧:大阪デザイナー専門学校)
後期は、進級時に専攻コースを確定するための大切な期間です
なので、自身がアニメーター向きなのか(作画して動かす事を仕事に選ぶのか)、作画に限らずアニメ制作のいずれかの役割に就いたりマネージメントの役割に就く場合でもそれに似合ったカリキュラムが用意されています。
1年生実習「進級制作実習」
課題のテーマは、個人制作でアニメ作品を作り上げてCREATIVE EXPOにて上映発表することです。共通のお題は「モノにいのちを吹き込む」道具や製品を主役にしてせて、動かしてキャラクター表現して見せるアニメを作ります。ただし、外見のデザイン上で擬人化させてしまうのではなく、生き物のように動かしてキャラクター表現することが課題です。機関車トーマスや美女と野獣のポットや燭台、M&MsのCMキャラクターのようにするのではなく、『すずめの戸締り』のスズメの椅子のように表現して動かすのです。
企画、キャラクターデザイン、絵コンテ、作画、さらには仕上げ、背景、撮影、編集、録音、可能ならば特殊効果も、この1年間学んできたことをフルに活用して、全てを独りで制作します。
ひととおりのことを経験して、自分が職業としてやっていける役割を確信して、専攻コースを確定して2年生に進級するのです。
1年生理論「映像演出論」
実習に対して座学と呼ばれる理論のレクチャー授業です。アニメーション学科では演習中心の実習授業と知識や専門情報を座学で学習する両スタイルの教科目をカリキュラムに取り入れています。
前期の「アニメーション概論」は、作品上映しながら作品紹介と作品研究を行いながらアニメーションとは何なのかを学びました。後期の「映像演出論」はアニメは絵画や漫画やイラストではなく映画であることにもとづいて、アニメの演出について学ぶ授業です。
まずは、映画の発明と歴史についての学習から始まります。
フランスのリュミエール兄弟が発表した世界最初の映画「工場の出口」の観賞です。
続けて、リュミエール兄弟が製作した「列車の到着」。
スクリーンから汽車が飛び出してくると観客が映画館から逃げ出した有名なエピソードのある映画作品です。
歴史的にも、映画がこんなにも我々の生活の中に当たり前の存在となり、テレビやビデオやDVDへとに発展していく、その、入り口となる大切なモノを目の当たりにしてもらいました。
ですが、アニメーション学科としては、それ以上に大切にしたい作品を鑑賞しました。
「水をかけられた庭師」です。(別邦題に「水をかけられた散水夫」「散水夫」等があります。マツダのムーブキャンパスセオリーのTVCMもオマージュしている作品です)
私たちがアニメを企画して制作するときに大切な事について気付かせてくれる作品だからです。
さらに、現在の映画やアニメを特別な芸術に仕立て上げる根本を当たり前に変えていった女流映像監督アリス・ギイを紹介しました。
カット割りしてモンタージュする事が当たり前に行われ、リュミエール兄弟が誕生させた映画は、絵画やイラストの領域から、映画へと進化するのです。
「工場の出口」「列車の到着」がどんな作品なのかは1枚のイラストでも説明できますが。「水をかけられた庭師」は1枚のイラストでは充分に伝えることができないでしょう。ここからアニメーション学科が学ぶカット割りやモンタージュは映画だからこその表現の技なのです。